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1.はじめに
金属は、セラミックス、プラスチックと並んで材料素材の大きな支柱をなしている。近代になり鉄に加えて、特に軽金属が大きく台頭してきた。
それぞれ素材には長所短所があり、金属にも短所をカバーするためにいろいろな方法が考えられてきた。さまざまな用途に適応するために合金が考えられてきたが、素材の良さを活かし、付加価値を高めるのに化学的表面処理が施されるようになった。鉄にペンキを塗ることは錆びないようにする表面処理方法である。
軽金属、特にアルミニウムについては、1924年(大正13年)日本でアルマイト加工技術が生まれた。この電気化学的表面処理は、軽くて丈夫というアルミ素材の良さが評価されて、益々成長の一途をたどっている。高付加価値・ファッション化など、近代の消費者ニーズに応える製品の開発は益々盛んである。
2.金属の表面と腐食
1.金属の表面
固体の表面はつねに単一でないもので、特別な処置をしない限り環境の支配因子と化学結合している。
物理的にいつでも結合格子の一部が切れているので、ひずんだり種々欠陥が考えられる。金属が物理的に表面を切られると、一時的に遊離の化学結合手が空間に手を振って遊んでいる 状態になる。
このような高エネルギー状態は、周囲の何かと結合して低エネルギー状態に安定化しようとする。高真空下(1.33×10 〜1.33×10−4Pa)でも存在する微量の空気中の酸素と瞬間的に結合して酸化皮膜をつくる。
しかし湿気があると−OHやH2Oが結合して、それらの介在する混合酸化皮膜ができる。表面に結合している−OHをとるのには、それよりも強く結合する因子をもってくる以外にはない。酸などは一時的に−OHを除くことができるが、生成した塩がだいたい水にとけるので余計に腐食が進むことになる。
2.腐食と防食
腐食がなぜ起こるのかという事は非常に難しい問題である。現在は国際腐食会議が3年毎に開かれているが、腐食による国家経済の損失は莫大なものである。
しかし、非常に珍しい事象もある。たとえば4世紀に建てたインドのデリー市にある 鉄塔は少しも錆びてないし、ヨーロッパでもドイツのコツテンホレストの村の境界線の鉄柱も600年以上経て全然錆びていない。こうなると鉄は何らかの化学的方法で永久に錆びないようにできるといえるのではないか。
アルミニウムについても同様のことが言え、表面処理法によっては永久防食の可能性が大である。腐食は金属表面が何らかの理由によりイオン化することにより起こるのである。イオン化しない方法が即ち防食ということになる。
3.アルミニウム材料
1.アルミニウムの特性と長所
アルミニウムの良さ、鉄の良さ、プラスチックの良さ、それぞれの素材の持つ特徴を生かした用途が広げられている。そこでアルミの特長を見てみよう。
(1)物理的長所
- @軽い
-
比重が2.7で鉄(7.9)、チタン(4.5)より更に小さい。
- A美しい
- 白色の清潔感のある色で、他の色とのコントラストが良い。この意味において、電解着色は色としては、ステン系〜ブロンズ〜ブラックである。
- B反射率大
- 反射鏡として、多孔質層に澄水性をもたすことよリ用途が拡大できると思われる。金属中で最も反射率が大きく、日光で91%位である。
- C加工性
- 押し出し、鋳造、圧延等自由に加工ができる。
- D力学的強度
- 形を考えたい合金にしたりすることにより強度の大きい材料ができる。
- E熱伝導性良好
- 鉄よりはるかに良く、銅の半分であるから使う箇所を考えると良い。20°Cで0.487、金は0.708、銀は0.998、銅は0.923である。
- F電気伝導性良好
- 銅の約60%で電子機器に使用の余地がある。
- Gガス滲透しない
- 箔(20μm)ですべてのガスは透過しない。パッキンやガス管に使用できる。ボンベの軽量化も複合化により可能と考えられる。
(2)化学的長所
- @無害
- 人体に有害の文献はなく、明バンは大昔から使っていた。故に食器食品関係に対する使用は多い。
- A耐食性と耐薬品性
- 鉄などにくらべ優れている。
- B複合性
- 他材料との接着性がアルマイト加工することにより増加する。
- C多孔質層形成
- アルマイト加工することで、多孔質皮膜が形成されその多孔質層を利用することによりいろいろな用途がある。例:ブロンズ色アルマイト、潤滑アルマイト等
- D地球での存在量
- 金属の中では地球上最多である。
2.アルミニウム材料
(1)化学性分による分類
アルミニウム合金は下記の様に分類される。
| アルミニウム |
純
ア
ル
ミ
ニ
ウ
ム |
高純度アルミニウム |
99.9%以上 |
JIS呼称 |
| 工業用純アルミニウム |
99.7% |
A1070 |
| 99.5% |
A1050 |
| 99.0% |
A1100 |
ア
ル
ミ
ニ
ウ
ム
合
金 |
Al−Cu系 (Cuを3.5〜6.8%含む) |
A2000系 |
| Al−Mn系 (Mnを1.0〜1.5%含む) |
A3000系 |
| Al−Si系 (Siを多く含む) |
A4000系 |
| Al−Mg系 (Mgを0.5〜5.0%含む) |
A5000系 |
| Al−Mg−Si系 (MgとSiを1.0%程度含む) |
A6000系 |
| Al−Zn系 (Znを5.0〜6.0%含む) |
A7000系 |
|
(2)形状とその記号
P−板
(例:A1100P ← 純アルミニウム[99.0%] の板)
S−押出形材
(例:A6063S ← Al・Mg・Si系押出形材。通常のサッシ材はすべてこの材料である。)
(3)抗張性とその記号
加工硬化−非熱処理合金(A1000系、A3000系、A40 00系、A5000系)に適用。記号はHを使う。(H12,H14、H24、H34 等がある。)
焼き入れ、焼きもどし−熱処理合金(A2000系、A6000 系、A7000系)に適用。
T5・・・高温加工から急冷後、人工時効硬化処理し たもの。
T6・・・溶体化処理後、人工時効硬化処理したもの。
その他 O・・・焼なましたもの。 F・・・製造のままのもの
例:A1100P−H14 純アルミニウム板材
A5052P−H34 Mg系板材
A6063S−T5 Al・Mg・Si系押出形材
4.陽極酸化(アルマイト処理)
陽極酸化処理には、前処理・陽極酸化処理・後処理があり、いろいろある。ここでは、入門であるので、一般的な処理方法について述べる。
陽極酸化処理
1. 陽極酸化皮膜について
「鉄」や「銅」を陽極とし、「鉛」を陰極として電解質溶液中で直流電解をすると、鉄や銅は溶解して陽イオンとなり拡散する。
金属
「Fe」 −−−−→ Fe 3+ となって溶け出す。
「Cu」 −−−−→ Cu 2+ となって溶け出す。
しかし、アルミニウムやマグネシウムは、「鉄」や「銅」と違って電解に より溶けるが、水の電気分解によって生ずる酸素と結合して、表面に酸化皮膜が形成される。
金属
「Al」 −−−−→ Al 2 O 3 の酸化皮膜が表面にできる。
2. 陽極酸化とメッキの違い
s
陽極酸化は、品物を陽極に(左)
メッキは、品物を陰極に(右)
 
上図のように陽極酸化ではAlの溶解した分だけAl素地が減り、その約2倍のアルマイト層ができる。
メッキの場合は品物 の上に異種金属の膜が重なるものである。
3. 陽極酸化皮膜の構造

多孔質層は、実際にはハチの巣状の構造である。
4−4. 二次電解着色の原理
アルミニウムを陽極酸化して生成した多孔質層の孔の中に、金属 を電気化学的に析出させて着色皮膜を得る方法である。当社では、ニッケルを孔の中に析出させている。そのニッケルの量が多いとブラック、少ないとブロンズ色となる。

4−5. 陽極酸化処理浴の組成と条件
・硫酸(H2SO4) 13〜17W/V%
・温度 19〜23°C
・溶存アルミニウム量 20g/L以下
・溶存塩化物量 0.2g/L以下
・電流密度 70〜150A/u
・電圧 13〜18V
・時間 約40分
4−6. 皮膜厚さの計算
生成する皮膜厚さは、次の式で計算できる。 皮膜厚さ(μm)=0.3x電流密度(A/du)x時間(分)
4−7. 表面積の計算=周囲長×長さ
枠付け面積=1本当たり面積×本数
(例1)直径50oの丸パイプで長さが5000o(5m)の ものの1本当たり面積は、0.05×3.14×5=0.785u
(例2)25oのアングルで長さが4000o(4m)のものの1本当たりの面積は、0.10×4=0.4u/本
5.後処理
1.封孔
文字の通り多孔質の孔を封じるもの。孔を封じることにより腐食しない様にすること。酢酸ニッケル5〜6g/Lと添加剤を2〜3g/L入れた90°C以上の熱湯の中に10〜20分浸漬することにより封孔される。
2.電着塗装
水溶性塗料の中で、陽極酸化処理した品物の上に電気化学的に塗料を凝着させるもの。
電着塗装浴の組成と条件
6.アルマイトの標準工程表
| 材料受入チェック→ |
枠付け→ |
脱脂→ |
水洗→ |
エッチング→ |
水洗→ |
中和 |
 |
→電解
(アルマイト
処理)→ |
水洗→ |
水洗→ |
水洗→ |
着色→水洗
(シルバー仕様)
着色→水洗
(カラー仕様) |
→封孔→ |
湯洗 |
 |
| →乾燥→ |
枠外し→ |
検査→ |
梱包→ |
出荷 |
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